2009年3月19日木曜日

ありのままを受け入れる ジャンヌさんの子育て

カナダ、ケベック州ケベック市に住むジャンヌさんは 27才、17才、15才の3人の女の子のお母さんです。美術館で企画展示の仕事を長年されています。

「あなたは 大人になったら リサーチャーになると思うわ。必要になったら
ジャーナリストに紹介するから 言ってね。」

ジャンヌさんが 長女レアさんが9才の時に言った言葉だそうです。その時は

「リサーチャーにはならないと思う。」

答えたレアさんでした。
レアさんは 15才になった時に 交換留学に応募してイギリスで高校を
卒業したい、とジャンヌさんに相談しました。(レアさんの高校は フランス語でした。)ジャンヌさんは 資料を自分で集めるように伝え、レアさんの留学を応援しました。
イギリスの高校を卒業する頃 レアさんが

「お母さん、前に ジャーナリストを紹介してくれるって言ったの覚えている?私、リサーチの仕事をしてみたいから その人を紹介して。」

と 頼んできました。
ジャーナリストは ジャンヌさんの直接の友人ではなく お姉さんの友人だったとのことですが 電話をすると

「ああ、ちょうど頼みたい仕事があります。」

との返事をもらったそうです。

「電話するの、本当は ドキドキだったのよ。」

と 当時を思い出してジャンヌさんが言います。

ジャーナリストは レアさんに 図書館に行って彼の仕事に関するリサーチを依頼し レアさんは期待に応えた仕事をしたそうです。その後 彼は次々と仕事を依頼し、また彼を通してレアさんの人脈がどんどん広がったそうです。
レアさんは 今年 大学院で都市計画の修士を終えました。27才の若さで家まで買ったというレアさんの成長ぶりは お母さんの予想を超えていたそうです。

ジャンヌさんの2番目の娘、アリスさんは 音楽系の公立高校を終え、シェジェップをモントリオールで始めた所です。

「あの子は 科学系に進むと言っているけれど 楽器を演奏するようになるって
思ってるのよ。あの子は1才の時に 保育園で フルートの生演奏を聴いて 食い入るように見ていたって 保育士さんが その日に教えてくれたの。大きくなって 私のフルートを欲しいっていうから あげたのだけれど 上達が早かったのよ。きっと 楽器を演奏する仕事に就くと思うわ。」

と ウインクしながら笑います。
また ジャンヌさんは

「レアが買った家に シェジェップへ行くアリスを住まわせてくれるかって聞くと レアは これまで自分がいろいろな人に助けてもらったから 今度は自分が誰かの役に立つ番だ、と言って 気持ちよく受け入れてくれたの。」

と 嬉しそう。
アリスさんには 高校時代、週末にはケベック市のレストランで働き、そこで知り合ったボーイフレンドが居ます。アリスさんが ボーイフレンドを家へ連れて来るようになると ジャンヌさんは生い立ちの恵まれない彼の話を聞き、自分のこどもと同じように愛情を持って接したそうです。
彼は アリスさんに出会った後 ケーキ作りの学校へ行き、今はレストランで デザートを作っています。さらにもっと勉強したい、とジャンヌさんに話しているそうです。

「3番目のブロンシェさんは 何になると思うの?」

との私の問いに ジャンヌさんは
「あの子は 作家になると思うの。小さい頃から 想像力が豊かで いつも何かしら書いているのよ。日記のようなものも書き続けているようだし。きっと作家ね。」

話の途中 ブロンシェさんが 大きな音で音楽をかけ始めると 立ち上がって
踊り始める、という陽気なお母さん、ジャンヌさんは 話しの区切りには “I love them.” を繰り返されました。

ジャンヌさんの子育てには 子どもへの愛とありのままを受け入れて応援するという姿勢が見事に貫かれています。

(カナダ・ケベック州:フランス語が第一公用語)

*ケベック州の教育制度:小学校6年、セカンダリー5年、シェジェップ2年、大学3年(合計16年)が 一般的なコース。
*義務教育は 小学校とセカンダリーの 11年間。