2010年5月20日木曜日

日本人に英語は必要?

モントリオールにほぼ10年間住みました。

モントリオールは日本の淡路島位の大きさの島です。
「オリンピックがあったところですよね!」
とおっしゃる方もあります。
そうですね、1976年に モントリオールオリンピックがありました。

「10年も同じ所に居て 退屈しなかった?」
と問われることがあります。
「退屈しませんでした。いつもイベントがあったり いろいろな国から来た様々な人に出会うだけでも 面白い!の一言でした。中国人、台湾人、インド人、タイ人、イタリア系カナダ人、エジプト系カナダ人、今でも連絡を取り合う友人達です。(共通言語は英語です。)それぞれの国の料理をご馳走になりました。日本人の家庭に行けば ジャパレス(日本食レストラン)ではメニューに無い食事を用意するのと同様に その国の人ならでは、の食事を用意されます。食事は一例に過ぎません。日本人にとって当たり前のことが 違う文化の人にとっては“奇妙”に映ったりします。
 日本で生まれて日本で育って その感覚、常識を持ってきて住むことは出来ません。文字通り「ありのままに受け入れる」ことが必要です。

私は 自分のうつ症状を克服する方法を模索する中でアドラー心理学に出会いました。アドラー心理学を翻訳、通訳抜きで学びたい、という思いで50才を目前にして留学しました。

時間はかかりましたが 英語が私の二つ目の言語になり、世界各国の人々と交流できるようになりました。単に挨拶、買い物をするだけでなく カウンセリングも出来るようになりました。

アドラー心理学を知りたい!
アドラー心理大学院へ行きたい!
心理セラピストになりたい!

と思い、行動に移したことで 思いがけず私の生きる世界が広がりました。
15年前、初めてアメリカへ息子と旅行した時は 入国審査、税関、買い物がやっとでした。

MSNのサイトに 「日本人に英語は必要ないのか?」という記事が載っていました。
NOVAが跳ね、ジオスが空転――日本人に英語は必要ないのか?
  ↑ その記事です。

「必要な時に勉強を始めても 遅くは無い!のでは???」と思います。しかし チャンスがあったら それを掴んで、あるいは興味があったら 追及して獲得すると 文字通り世界が広がる、と思います。

10年前に 15才でカナダに行った二男は カナダで高校を卒業し、ジャズベースをチャーリー・ヘイデンから学びたいとカリフォルニアの大学に行きました。息子が 異なった国から来た演奏家達と 英語を使って会話をしているのを見、同じ年月でも若いと吸収率が違う!と実感しています。

2010年2月19日金曜日

良識のある大人の皆様へ

子育てを支える「家族・地域のきずなを再生する国民運動」
平成21年度「家族・地域のきずな」に関する作品コンクール 
に応募した手紙です。

良識のある大人の皆さまへ

↑太字をクリックして頂くと作品に飛びます。

2009年3月19日木曜日

ありのままを受け入れる ジャンヌさんの子育て

カナダ、ケベック州ケベック市に住むジャンヌさんは 27才、17才、15才の3人の女の子のお母さんです。美術館で企画展示の仕事を長年されています。

「あなたは 大人になったら リサーチャーになると思うわ。必要になったら
ジャーナリストに紹介するから 言ってね。」

ジャンヌさんが 長女レアさんが9才の時に言った言葉だそうです。その時は

「リサーチャーにはならないと思う。」

答えたレアさんでした。
レアさんは 15才になった時に 交換留学に応募してイギリスで高校を
卒業したい、とジャンヌさんに相談しました。(レアさんの高校は フランス語でした。)ジャンヌさんは 資料を自分で集めるように伝え、レアさんの留学を応援しました。
イギリスの高校を卒業する頃 レアさんが

「お母さん、前に ジャーナリストを紹介してくれるって言ったの覚えている?私、リサーチの仕事をしてみたいから その人を紹介して。」

と 頼んできました。
ジャーナリストは ジャンヌさんの直接の友人ではなく お姉さんの友人だったとのことですが 電話をすると

「ああ、ちょうど頼みたい仕事があります。」

との返事をもらったそうです。

「電話するの、本当は ドキドキだったのよ。」

と 当時を思い出してジャンヌさんが言います。

ジャーナリストは レアさんに 図書館に行って彼の仕事に関するリサーチを依頼し レアさんは期待に応えた仕事をしたそうです。その後 彼は次々と仕事を依頼し、また彼を通してレアさんの人脈がどんどん広がったそうです。
レアさんは 今年 大学院で都市計画の修士を終えました。27才の若さで家まで買ったというレアさんの成長ぶりは お母さんの予想を超えていたそうです。

ジャンヌさんの2番目の娘、アリスさんは 音楽系の公立高校を終え、シェジェップをモントリオールで始めた所です。

「あの子は 科学系に進むと言っているけれど 楽器を演奏するようになるって
思ってるのよ。あの子は1才の時に 保育園で フルートの生演奏を聴いて 食い入るように見ていたって 保育士さんが その日に教えてくれたの。大きくなって 私のフルートを欲しいっていうから あげたのだけれど 上達が早かったのよ。きっと 楽器を演奏する仕事に就くと思うわ。」

と ウインクしながら笑います。
また ジャンヌさんは

「レアが買った家に シェジェップへ行くアリスを住まわせてくれるかって聞くと レアは これまで自分がいろいろな人に助けてもらったから 今度は自分が誰かの役に立つ番だ、と言って 気持ちよく受け入れてくれたの。」

と 嬉しそう。
アリスさんには 高校時代、週末にはケベック市のレストランで働き、そこで知り合ったボーイフレンドが居ます。アリスさんが ボーイフレンドを家へ連れて来るようになると ジャンヌさんは生い立ちの恵まれない彼の話を聞き、自分のこどもと同じように愛情を持って接したそうです。
彼は アリスさんに出会った後 ケーキ作りの学校へ行き、今はレストランで デザートを作っています。さらにもっと勉強したい、とジャンヌさんに話しているそうです。

「3番目のブロンシェさんは 何になると思うの?」

との私の問いに ジャンヌさんは
「あの子は 作家になると思うの。小さい頃から 想像力が豊かで いつも何かしら書いているのよ。日記のようなものも書き続けているようだし。きっと作家ね。」

話の途中 ブロンシェさんが 大きな音で音楽をかけ始めると 立ち上がって
踊り始める、という陽気なお母さん、ジャンヌさんは 話しの区切りには “I love them.” を繰り返されました。

ジャンヌさんの子育てには 子どもへの愛とありのままを受け入れて応援するという姿勢が見事に貫かれています。

(カナダ・ケベック州:フランス語が第一公用語)

*ケベック州の教育制度:小学校6年、セカンダリー5年、シェジェップ2年、大学3年(合計16年)が 一般的なコース。
*義務教育は 小学校とセカンダリーの 11年間。

子育ての目標

「どんな目標を持って 子育てをしておられますか。」
これは 私が始めて子育て講座を受けた時の 講師のS先生の言葉でした。

「え~~~っ、子育てに目標なんてあったの??? 何だろう???」
と しばらく悩んで
「大人になって 人に迷惑を書けないで 自分で生きていけるように、です。」
と答えたように思います。

「では そうなって欲しいために どのように接しておられますか?」
「え~~~っ、そんなこと 考えたこともありません。」
というのが正直なところでした。

朝ごはんを作って 出来たら子どもを 起こす。
忘れ物をしないように 学校の時間割をそろえるのを手伝う。
登校班の時間に間に合うように「早く!早く!」と言って 送り出す。
学校から帰ったら スイミングプール、ピアノの送り迎えをする。
夕食の支度をし、子どもの勉強を見る。

いまから15年前、講座を受け始めた時の私は専業主婦でした。
家事、こどもの世話、自分の習い事で日々を送っていた私でした。

「子育てに目標がある!」というのは 新鮮な驚きでした。

皆さんは どんな目標を持っておられますか?

アドラー心理学の育児講座の目標

短期目標:責任感と自立心を育てる。

長期目標:自分のことが好きになれる。
     社会の一員として 仕事が出来る。
     家族、友人、社会で良い対人関係が持てる。
     社会に貢献できる。

短期目標を達成するために、次の二つを常に考えます。

① 自分の大切にしている友達に対するように接する。

② こどもに対応する時に いつも自分の言葉かけが こどもの自立心と責任感を育てるのに 役に立つかどうかを考える。

自分の子どもに対して 大切にしている友達に対するように接するというのは
子どもは 自分が人として大切に接してもらって 初めて他者に対して 大切に接するという態度(尊敬)を学ぶという理念に基づくものです。

私は ひたすら講座の宿題を実践(練習)しました。
効果があるかどうかは 実践できるかどうかにかかってくるのです。
もちろん、どんな効果があるかは 十人十色です。

私の場合は 肯定的に物事を捉えることが出来るようになりました。
離婚を経て 子連れ留学をしました。
現在 長男は 日本でウエブ・ディレクターとして働き、二男はアメリカの大学で ジャズ・ベースを学んでいます。
彼らとの関係は 私には 若い友人を持っているという感覚です。

二男の進路も 私がアドラーの育児方法を学んでいなかったら異なったものであったと思います。

楽に楽しく育児が出来るアドラー心理学の育児方法を 私自身の実践、講座開催、心理セラピーでの実例を交えながら紹介していきたいと思います。

「育てなおしたい。」「生みなおしたい。」
と言わなくても 良いように・・・。

何かに迷った時、困難な出来事に出会った時に 自分で、あるいは人に相談しながら建設的な解決方法を見出していける力を 子どもが持てるように・・・。

保育所、幼稚園、養護施設、学校の先生方にも 応用して頂けます。
また ご自身のご両親、ご主人あるいは奥さん、恋人、義父母など あらゆる対人関係に応用できます。



 

いじめ

息子の場合

息子が小学校6年生の時に 隣のクラスの男子児童から1年間に渡ってうけていたことを知ったのは 息子が二十歳を過ぎてからでした。

何がきっかけだったのか覚えていないのですが ある日 息子が言いました。

「お母さん、ぼく小学校6年生の時 よくけがしたでしょう。あれ、隣のクラスの男子から いじめにあってたんだよ。」

「中学に行ってから ○○君達が 担任のT先生にけしかけられて いじめていたって言うんだよ。先生がそんなことするなんて 始めのうちは信じなかったんだよね。別の時に △君や◎◎君達も そうだっていうんだよ。そうなんだな~~~って思ったんだけどさ。中学になったらピタッと止まったことから考えても そうかも知れないって思うんだよね。△君達ともとのように仲良くなったんだよ。」

・ ・・・・

私には 思い当たることがありました。

息子が小学校4年生の時に 担任の先生から電話がかかって来ました。

「御宅の A君が 集団登校をする時に ファミリーレストランの駐車場の回りの植木を切ったのを T先生が見られて 僕にA君を指導するように言われました。校長先生からも指導してもらいました。お母さんはファミリーレストランに A君といっしょに 謝りに行って下さい。」 

息子とそのファミリーレストランへ行って見ると 植木を支えになっている竹に 針よりも細い傷がありました。
文字通り「針小棒大」です。

「どうしたの?」

と息子に聞くと

「B君が 工作で使うノコギリを持っていたから借りて どんな切れ味か試してみたかったから ちょっと竹に当ててみた。」

レストランの店長さんに 訳を言ってお詫びをすると 笑って許して下さいました。

私は その竹についた傷の写真を撮り 現場の地図を書いて 校長先生に会いに行きました。

植木は切ってはいなかったことを 伝え、T先生が車で現場を通られたのであれば 車を止めて 事実を確認されても良かったのではないか、と伝えました。

そして どの先生か現場を確認されたのか 伺いました。

「誰も見ていません。つまり、指導に間違いがあった、ということですね?」

とおっしゃいました。

その後のことは 聞いていませんでしたが T先生との関わりが 1年以上前にあったのでした!!!!!

「江戸の敵を長崎で討つ」です。

私は 息子に謝りました。

「それは お母さんのせいだったんだわ。あの時 T先生が言ったことは 事実と違う、と校長先生に会いに行ったから・・・。そんなことがあったの、ごめんね。」

息子は

「いいよ。お母さんは僕のことを考えて行ってくれたんだから。僕が親でも同じことをしたと思うよ。」

「1年近くもいじめを受けていて 学校へ行くの、嫌にならなかった?」

「また、同じことがあるかな~~~、とは思ったけれど 俺は何も悪いことはしていない、と思ってたから。だから 暴力受けないようにするには どうしたらいいか 考えて 空手を習うことにしたんだよ。」

小学校の6年の時に 学校で手や足に怪我をして 整形外科に数回かかったのは 隣のクラスの児童による暴力だったのです。

うつ症状だった私は 自分のことで精一杯で 機敏に体が動き、それまで怪我などしたことが無い息子が 繰り返し怪我をすることを疑問にも思わなかったのでした・・・。

息子を守ろうとして 学校に行ったことが もっとひどい事態を招いていたのでした。

あれから10年以上経って T先生はもしかしたら今頃は 校長先生になられているかも知れません。

息子から いじめを受けている子へのメッセージです。

「空手を習うといいよ。」

若いあなたへ

あなたは 10代でしょうか。それとも 20代でしょうか。

10代、20代の頃 将来について不安感を持ったり 口うるさいと感じる大人に対して 反抗したいと感じるのは とても自然なことです。

ほんとうはツルミタクナイのに 一緒にいる仲間が欲しくてグループに入ることもありますね。
それも 人として自然なことです。
人は 「自分に居場所がある」と感じることで 安心できます。

大人(先生や親)に腹が立って 
「勉強なんかするもんか!!!」
と思うこともありますね。

誰が決意したのでしょう?

勉強しない、と決めたのは誰でしょう?

あなた、ですね。

その結果は 誰にふりかかってくると思いますか?
先生や親でしょうか?

そうです。あなたにかかってきますね。

後になって 大変な思いをするかもしれないのは 誰でしょう?
やっぱり あなたです。

でも 選択したのは?
あなたですね。

いつも 「自分の行動には その結果がついてくる」ことを 考えて選択するようにしましょう。

もちろん、間違い、過ちはいつでも経験として生かせます。
時には同じ間違いを何回もして そこから学んでいくのが 人間です。



もし あなたが自殺を考えていたとしたら ちょっと待って下さいませんか。

あなたは 「死んだほうがマシ」 と思うほど つらい思いをしているのですね。

でも 死んでしまったら あなたの未来が描けなくなってしまうのです。

生き返ることはできないのです。

あなたは 自分で歩いていますか?

そうだったとしたら あなたは 勇気のある人です。
あなたが 赤ちゃんだった時、初めて立ち上がろうとした時、どれだけ大変だったことでしょう。
でもあなたは勇気を持って立ち上がりました。

今、死にたくなっているとしたら その時の勇気を 思い出してみましょう。
想像してみましょう。

そんな頑張ったあなたの命を 自分の手で終えてしまうのは
もったいないとおもいませんか?

特に 誰かに 復讐するために死のうとしていたら 止めた方が良いです。
復讐できるとは 限りません。
そのエネルギーを 回復することに使ってはどうでしょう。

思い切って 誰かに話してみましょう。
あなたの気持ちを聴いてくれる 専門家をさがしてもらいましょう。
あなたの地域に 無料相談所や電話相談があるかも知れません。
もしかしたら あなたの為にお家の方が カウンセリングの費用を出してくださるかもしれません。

あなたが 分かってもらえる、と感じる人に出会えば 
あなたは 自分の「勇気」を取り戻すことができるはずです。

いじめ

過ちの中で繰り返さない方がいいものがあります。
暴力や言葉の暴力です。
これらは 人を傷つけます。
傷つけられた人の中には そのことで 何十年も苦しむこともあります。

勇気づけ

「過去は変えられないが 未来は変えられる。」

私達心理セラピストがクライエントに伝えることが多い言葉の一つです。

自分の過去を悔いるのであれば これからの人生にその過ちから学んだことを生かしていこうという提案です。

罪を犯したこどものお母さんが「育て直したい。」「産み直したい。」と言ったとの新聞記事・ネットの記事を見ることがあります。
残念なことに こればかりはかないません。

育てなおし、産み直しが出来ないからこそ 長期的視野に立った育児が重要となります。

「うつ病」が身近な病気の一つとなりました。また不登校・引きこもり・自殺・親族内殺人という精神的に病んでいる、あるいは病んでいたのであろうと推測できる報道が後を絶ちません。

アドラー心理学を創った精神科医・アドラーは 後に起こりうる精神病を予防する為に 親・教師への「子どもへの対応方法」の教育を提案しました。

アドラーは「甘やかし・過保護・無視・虐待」が性格形成に及ぼす影響を研究し、精神的に健康な大人を育てるために 子ども・児童・生徒への「勇気づけ」が不可欠であると 親・教師への教育に力を注ぎました。精神病理は不可解なものでは無く、劣等感と勇気を挫かれていることに由来しています。

アドラーは精神病理を予防する対策の必要性を説き ヨーロッパ、アメリカで講演・講義を続けました。アドラーの弟子でアドラー心理大学院の基礎を築いたドライカースは「植物に太陽と水が欠かせないのと同様に 子どもには温かい勇気づけが重要である。」との言葉を残しています。

だれもが他者に「勇気づけ」を与えることが出来ます。

親・祖父母・教師・近所の人、勇気を挫かれている子に気付いた大人は 誰でも援助者になることが出来ます。